栽培にとても手間がかかる高麗人参

栽培にとても手間がかかる高麗人参

健康増進に役立つさまざまな効能があることで知られている高麗人参。他の健康食品と比べても、高麗人参は抜きん出て値段が高いというイメージがあるでしょう。なぜそこまで値段が張るのでしょうか。それには高麗人参の栽培にとても手間がかかることが関係しています。

まずは土づくりから

高麗人参は、食卓によく上る野菜の「人参」とは全く別のものです。分類上は野菜の人参はセリ科ですが、高麗人参はウコギ科で、全く別の種類になります。高麗人参の栽培には長い時間と注意深い世話が必要とされます。まず土づくりから始める必要があり、土づくりだけで数年間はかかると言われています。高麗人参が育つためには、土は養分をたっぷり含んでいるだけでなく、通気性が良く、水持ちと水はけがちょうどいいバランスである必要があります。その条件に合う土づくりをするために、土の栄養バランスを崩してしまう化学肥料の使用は一切避けます。腐葉土を混ぜ込んで微生物が活動できる土を作ったうえで、そこに土壌改良に良いとうもろこしを植えます。とうもろこしは根から土の中の腐敗した有機物の成分を吸収してきれいにしてくれます。そしてとうもろこしが熟す前に、葉や茎ごと土の中にすき込んでしまうことによって、それがさらに有機肥料となって土に栄養を与えてくれます。このように、高麗人参の栽培に適した土づくりだけで2、3年ほどかかってしまうのが普通です。

収穫まで4~6年

栄養豊かな土ができたら、やっと高麗人参の植え付けに取り掛かることができます。しかし植えても1年で収穫できるわけではありません。高麗人参は、食用・薬用として摂取することができるようになるまでには少なくとも丸3年はかかります。4年目から食用として収穫できますが、高麗人参の特徴的な栄養成分であるサポニンの含有量は4年根、5年根と年が経つにつれ増え続け、6年根がサポニンの含有量が最も高くなります。しかし7年根以上になると病気にかかりやすくなってしまい、それ以上栽培することができなくなります。それで高麗人参は6年根が最も貴重で価値も高くなるのです。

栽培サイクルは約20年

この6年間の栽培期間中ずっと、病気にかからないように細心の注意を払って世話をする必要があります。6年もの間には大雨や日照りなど悪天候が重なることもありましょう。高麗人参農家は、そうした全てのものから作物がダメージを受けないよう注意深く育てていきます。その間、高麗人参は土壌の栄養素をありったけ吸収して自分の栄養成分へと変え、貯えていきます。そのため一度高麗人参を収穫すると、続く10年は畑を休ませ寝かせないと、同じ畑で高麗人参を栽培することができないほどです。土づくりで2、3年。植えてから収穫できるまで6年。そして畑を休ませるのに10年。つまり同じ土地では約20年に1度のサイクルでしか高麗人参を栽培できないのです。これで、高麗人参が高価なわけが理解できますね。

ジンセノサイドの驚くべき作用

そのようにして大地の栄養素をことごとく吸い上げ貯えた高麗人参の栄養成分の中でも、際立っているのがサポニンです。サポニンは植物一般に広く含まれている成分で、渋みや苦みの元となる成分です。サポニンと一言で言っても植物によって多くの種類があり、高麗人参に含まれるサポニン群(高麗人参サポニン)はジンセノサイドとも呼ばれています。高麗人参に含まれているジンセノサイドは約40種類が確認されていますが、それぞれのジンセノサイドには特有の薬理作用があります。主なものを挙げてみましょう。

・抗アレルギー作用

・精神安静作用

・心臓機能障害改善作用

・疲労回復作用

・数種の癌細胞に対する細胞毒性効果

・糖尿病抑制作用

・認知機能改善作用

・副腎皮質刺激ホルモン分泌促進作用

これは高麗人参サポニンが持つ薬理作用のほんの一部にすぎません。しかも特筆すべきなのは、他の植物に含まれるサポニンには大量摂取すると体に害になる種類もありますが、高麗人参サポニンにはそのようなことがなく、安心して摂取できる点です。まさに高麗人参が漢方の王様とも呼ばれるゆえんです。

高麗人参の水参、白参、紅参とは

高麗人参は朝鮮半島で採れたニンジンだと思っている方もいるかもしれませんが、実は高麗人参と、いわゆる一般的な野菜のニンジンは全くの別物です。高麗人参はウコギ科なのに対し、野菜のニンジンはセリ科です。

「高麗人参」の名前の由来

もともと「人参」と呼ばれていたのは高麗人参の方で、朝鮮半島とそのすぐ近くの中国の遼東半島にかけてが原産地といわれています。根が2本に分かれた様子が人の足のように見えることから「人参」と呼ばれ、江戸時代以前から日本にも輸入され薬用として用いられていました。ところが江戸時代以降、今でいうニンジンが野菜として一般的に輸入されるようになり、それまでに知られていた人参と形が似ていることから「セリニンジン」などと呼ばれていました。その後さらにニンジンが日本人の食生活に一般的になってくるにつれ、呼び方も単に「ニンジン」となりました。それに対し、もともとの人参は「高麗人参」と呼ばれ、区別されるようになったのです。

水参、白参、紅参

高麗人参はその加工法によって3つに分けることができます。「水参(すいさん)」「白参(はくさん)」「紅参(べにさん)」の3つです。水参は加工されていない、収穫してそのままの高麗人参の根の部分です。白参は水参の皮をむき、もしくはそのままで乾燥させ、水分の含有量を少なくしたものです。水分が少ないので水参よりも日持ちがします。水参や白参には、主に地中で4年間育った4年根が使われます。

紅参が最も貴重なわけ

それに対し紅参には5年根や6年根が使われます。収穫された高麗人参の皮をむかずに蒸し、その後自然乾燥させたもので、加工のプロセスで人参が紅色を帯びてくるためこの名で呼ばれています。ジンセノサイドを始めとする高麗人参の有効成分は皮付近に多いため、皮をむかないで加工する紅参は白参よりも栄養分が豊富に含まれています。特に6年根の紅参は栽培にも手間がかかり、栄養分も特に豊富なため、高麗人参の中でも最も貴重なものとされているのです。

高麗人参の栽培に必要な環境・条件とは

高麗人参は他の薬用植物と比べても栄養成分の点で抜きん出ていて、まさに「漢方の王様」と呼ぶにふさわしい健康食品です。原産地は朝鮮半島および中国の朝鮮半島に近い地域。昔から栽培が難しく、本場の朝鮮半島でも、もっぱら自生しているものが採取されていたようです。初めて栽培に成功したのは、本場の朝鮮でも1700年代に入ってからのことです。日本にも古来より輸入されており、高い薬効が知られていましたが、なにしろ希少であったため非常な高値で取引きされていました。

日本では江戸時代に栽培に成功

そんな折、8代将軍徳川吉宗は、当時もっぱら朝鮮半島からの輸入に頼っていた高価な高麗人参をなんとか日本で栽培できないものかと知恵を絞り、ついに松江や会津、信濃などで栽培に成功したのです。現在でも、世界中で消費されている高麗人参のほぼ7割は朝鮮半島および中国の朝鮮半島に近い地域で生産されていますが、日本でも引き続き島根県の松江市周辺や福島県の会津若松市周辺、長野県の東信州一帯などごく一部の地域で栽培されています。

栽培に必要な条件

このように高麗人参を栽培している地域が限られているのは、この作物が土と気候・環境を選ぶ植物で、条件を満たす土や環境が整っている場所がそう多くないのです。条件としては、土が肥沃で栄養豊かであることは第一条件になりますが、それだけでは高麗人参が育つ場所としては不十分です。高温もしくは多湿になると病気にかかりやすくなるため湿度が低い場所である必要があります。晴れの日を好みますが直射日光は嫌うので、小屋を建ててわらで屋根をしき、日陰を作ってやります。この小屋は高麗人参の苗が嫌う風を防ぐ役目も果たします。

滋養豊かな高麗人参

このようにして注意深く栽培・収穫された高麗人参は、有効成分の高麗人参サポニンを始め、さまざまな滋養成分に富んでいます。焼酎やブランデーなどのアルコールに数ヶ月漬けて高麗人参酒にして飲むも良し、アルコールが苦手なら高麗人参茶にしてもいいでしょう。体を内側から温め、元気にしてくれます。

高麗人参サポニンをバランスよく摂取するには

野菜のニンジンと高麗人参は、似て非なるもの。英語ではニンジンは「carrot(キャロット)」ですが、高麗人参は「ginseng(ジンセン)」で、全く別の植物です。そのため、野菜のニンジンと高麗人参では含まれる栄養成分が異なっています。野菜のニンジンにはβ-カロテンが含まれていることが知られていますが、高麗人参の栄養素には各種ビタミンを始めアミノ酸やアルカロイドが含まれています。とはいえ、高麗人参の最も特筆すべき栄養素はサポニンでしょう。

さまざまな作用を持つ高麗人参サポニン

サポニンは実はさまざまな植物に広く含まれている栄養素ですが、含まれる植物によって同じサポニンでも異なった働き・作用を持っています。たとえば大豆サポニン・アマチャヅルサポニン・ゴボウサポニンなどといった具合ですが、その中でも高麗人参サポニンは特に健康に寄与する働きが評価されています。高麗人参サポニンは、その組成によってさらに細かい成分に分類でき、それぞれが違った有用な作用を持っています。高麗人参サポニンの薬理作用は数え上げたらそれこそキリがありませんが、血圧調整作用・疲労回復作用・血流改善作用などはそのほんの一例です。

含まれる部位によって作用が異なるサポニン

この高麗人参サポニンは、根の表面、皮の部分に比較的多く含まれています。さらに言えば、太い根の周りに生い茂るように生えているひげ根の部分には、より多くのサポニンが含まれています。しかも興味深いことに、太い根部分に含まれるサポニンとひげ根の部分に含まれるサポニンとでは種類が異なり、それゆえ異なった薬理作用を持っているのです。

サポニンをバランスよく摂取

このことから、本来望ましいのは本根の部分とひげ根の部分、両方を丸ごと摂取することだと言えます。それによって体に有用な成分をバランスよく摂り入れることができると考えられるからです。しかし実際にはひげ根の部分を切り落として流通されている場合や、エキスの形で販売されていて、高麗人参の全体部分から栄養素が抽出されていない場合もあります。高麗人参製品を選ぶ際、この点に注目してみるのも良いかもしれません。

日本でも栽培されている高麗人参

高麗人参と聞くと、すぐに朝鮮産ということが思い浮かぶ方は多いようです。またの名を朝鮮人参としても知られていますし、実際原産地は朝鮮半島一帯、または中国と北朝鮮との国境周辺と考えられています。ところが、実は日本でも高麗人参を栽培しているところがあるというのは意外と知られていないようです。

「御種人參(オタネニンジン)」の名称の由来

高麗人参は日本では「御種人參(オタネニンジン)」としても知られています。この呼称の由来は、8代将軍徳川吉宗が、それまでは輸入するしかなかった高麗人参を日本国内で栽培するべく朝鮮から持ち帰らせた種を栽培して殖やし、その種(御種)をいくつかの藩に与えて栽培させたことから来ています。その中でも福島県会津地方や長野県の上田・佐久地方、島根県の大根島などごく一部の地域で栽培が成功し、現在もオタネニンジンの栽培が行なわれています。それぞれの場所によって、会津人參、信州人參、雲州人參などとも呼ばれています。

オタネニンジンの栽培条件

もともとオタネニンジンの栽培はとても難しいのですが、これらの地域は、いずれも昼夜の寒暖差が大きい、比較的涼しい気候、あるいは水はけのよい火山灰土壌、清らかな水など、オタネニンジンの栽培に欠かせない何らかの条件をいくつか兼ね備えています。そうした環境面の条件に加えて、それぞれの土地に応じてこれまで培ってきたノウハウ・技術が相まって、難しいオタネニンジンの栽培が可能になっています。

安心な日本産の高麗人参

日本産の高麗人参は品質の高さで知られており、海外にもかなりの割合で輸出されています。しかし最大のメリットは、やはり安心感ではないでしょうか。とりわけしっかりと情報を公開し、残留農薬の検査などを行なってから収穫・出荷している業者さんもあるので、そういったところから入手すると安心です。利用の仕方もいろいろです。そのまま参鶏湯(サムゲタン)に入れたり、はちみつやお酒に漬けてエキスをいただいたり。滋養強壮にいい高麗人参で元気を回復しましょう。

高麗人参の栽培大国、中国

高麗人参を健康食品として選ぶ際、やはり本場ということで、朝鮮半島産(韓国産)のものを選ぶ方は多いでしょう。ところが意外にも、世界で流通している高麗人参のなんと約70%は中国産だということをご存知だったでしょうか。中国では多くの高麗人参が栽培されていて、そのうちの約半分は韓国と日本に輸出されています。そして中国から輸入された高麗人参を使っていても、韓国で加工されれば韓国産、日本で加工されれば日本産と表示されて販売されるのです。

中国産と韓国産

中国産から韓国産に表示が変わった途端、高麗人参の価格は一気に跳ね上がります。中国で販売されている高麗人参の価格は、平均すると100gあたり約1,000円。ところが韓国産の高麗人参の中には、100gあたり約6万円で売られているものもあります。韓国産として売られている高麗人参の全てではないにしても、その多くは中国で売られている商品と同じものであり、包装を変えているだけという現状もあるのです。

中国産=粗悪品ではない

それで高麗人参を購入する際は、価格だけでなく、原産地がどこの高麗人参を使っているのか、どのように栽培・収穫・加工されているのかなどにも注目して選ぶとよいかもしれません。もちろん原産地が中国というだけで品質が良くないということにはなりません。中国で栽培されている高麗人参の中には、栽培方法や品質管理にこだわって作られた高品質の高麗人参もあります。

中国も高麗人参の原産地

また、高麗人参の原産地という点から見ても、北朝鮮と中国の国境地帯にある白頭山(長白山)周辺はもともと高麗人参が野生していた地域であり、高麗人参の生育に適した気候・土壌の条件が揃っています。白頭山の中国側のふもとでは、冷涼な気候、水はけの良い火山灰質の土壌を利用して多くの高麗人参が栽培されており、中には栽培方法などかなりこだわって作られているものもあります。

GAP取得の農家で栽培される高麗人参は品質が高い?

健康食品の中でも、その豊かな栄養成分から人気の高い高麗人参。一口に高麗人参と言っても数多くの種類があり、どの商品を選んだらよいのか迷ってしまうことも多いかと思います。

GAP取得の農家かどうか

選ぶ際の基準の一つとして、農業生産工程管理(GAP:Good Agricuitural Practice)の認証を取得している農家で生産されたものかどうかに注目してみるのも一つの方法かもしれません。GAPには、JGAP(ジェイギャップ)と呼ばれる日本独自のものと、グローバルGAPと呼ばれる世界基準のものがあります。この2つは別のもので、どちらが優れている、いないということはありません。

GAPとは?

誤解しやすい点として、GAPは農産物の品質を直接認証するものではありません。というよりも、農作物を作る際の肥料や農薬の使い方、環境に配慮することや労働の際の福祉といった面にまで踏み込んでいて、安全な作物を持続的に供給できる農家を認証するものです。それで、GAPの認証を取得している高麗人参農家では、最低限安全が確保されるような方法で高麗人参が作られていますよ、ということになります。そのような基準にしたがって高麗人参を生産している生産場であれば、ある程度の品質も期待できると考えてもよいのではないでしょうか。

高麗人参の3つの種類

高麗人参は加工法によって3つに分類されます。水参(すいさん)は収穫された根の土を落として洗ったもので、そのまま天ぷらにして食べても美味しいですし、サムゲタンなどの料理に入れて使うこともできます。水参を乾燥させたものが白参(はくさん)、水参を蒸した後乾燥させたものが紅参(べにさん)です。紅参に加工する過程で蒸すことと乾燥によって、高麗人参サポニン(ジンセノサイド)の種類が増え、抗がん作用や抗酸化作用、滋養強壮といった高麗人参の持つパワーが増幅されるので、紅参は高麗人参の中でも最も重宝されています。

高麗人参サポニン(ジンセノサイド)の驚くべき作用

高麗人参の特徴的な栄養素である、高麗人参サポニン。このサポニン自体は珍しいものではなく、多くの植物に含まれています。ただ植物によってサポニンの体内での働きは異なります。高麗人参に含まれるサポニン群はとりわけ種類も多く、体に及ぼす薬理作用もさまざまなため、特別に「ジンセノサイド」(高麗人参の英語名、ginseng:ジンセンに由来)と命名されています。

身体のバランスを回復させてくれるジンセノサイドの働き

ジンセノサイドには約40種類ものサポニン群が含まれており、これらのサポニン群はジオール系・トリオール系・オレアノール系に分類できますが、ほとんどはジオール系かトリオール系に分類されます。この2つのサポニン群には対照的な作用があり、ジオール系は副交感神経を、トリオール系は交感神経を活発にする作用があります。副交感神経は、身体を休め、リラックスさせ、元気を回復するための神経。対照的に交感神経は、身体を活動的に動かすための神経です。つまりどちらか片方だけの神経が働くのでは良くなく、両方の神経がバランス良く働くことによって健康な毎日を送れるのです。

意外なジンセノサイドの作用

高麗人参に含まれるサポニン群は種類が多く、それぞれの神経に働きかける成分が含まれているので、夜はぐっすり眠って疲れを取るのを助けてくれ、昼は血の巡りを良くして生き生きと活動するのを助けてくれるのです。お年寄りの方でも、「高麗人参を毎日摂っていると調子がいい」とおっしゃる方が多いのもうなずけます。さらにジンセノサイドの意外な作用としては、アルツハイマーなどの認知機能改善作用、神経回路網再構築作用なども持っていることが分かっています。

楽しみ方いろいろ

高麗人参はさまざまな形で楽しめます。6年根の紅参を乾燥粉末にしたもの。濃縮エキス、あるいはドリンクで。そのままの形のものはサムゲタンなどの料理に入れたり、お酒や蜂蜜に漬けて、などなど。自然の恵みを楽しみつつ毎日を健康に過ごせたらいいですね。

高麗人参の栽培が難しいと言われる理由

栽培がひときわ難しいとされる高麗人参。一体なぜそんなに栽培が難しいのでしょうか。

気候を選ぶ高麗人参

一つには、気候条件を選ぶ植物であることが挙げられます。高麗人参が育つのは、生育に適した湿度と降雨量を保つことができる地域に限られます。そして朝日は好みますが直射日光は嫌うため、栽培に望ましいのは北向きの傾斜地です。そして朝日だけを十分に浴び、その後は直射日光を避けられるように、工夫して小屋を作る必要もあります。

種まきも手間がかかる

高麗人参の栽培は、種を収穫するところから始まります。毎年7月ごろに真っ赤な蕾(種子)が熟し、それを収穫します。3年目の種は未熟で、5年目以降の種は固すぎるため、種まきに使う種は4年目のものが用いられます。種をまく苗床の土も注意深く準備されます。肥料は全て天然のものが用いられ、土のバランスを崩してしまいがちな化学肥料は一切使わないのが普通です。

収穫まで4年から6年

種をまいてから数ヶ月すると芽が出てきますが、5、6か月経った苗は一旦全て掘り出されます。それを前もって準備されてあった畑に植え替えるわけですが、メーカーによってはここで1割ほどの特に優れた苗だけを選んで畑に植え替えるところもあるようです。畑に植え替えられると、収穫されるまで4年もしくは6年植えられたままで、大地の栄養をしっかりと吸収します。山の傾斜地は寒暖の差が激しいところもありますが、その差がかなり大きいところで育つことによって逆にたくましい生命力を蓄えていきます。

日本でも栽培されている

高麗人参というと韓国産のイメージが強いですが、日本でも福島県の会津地方、長野県の佐久地方、島根県の大根島の3か所で栽培されています。このうち会津地方では2012年に高麗人参の農協が解散になって、会津の高麗人参の歴史は終わりを迎えるかというところまで行ったようです。ところが有志によって高麗人参の栽培が継続され、2017年にはそれ以来最初の収穫が見込まれています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です